さむがりがさむいところへ

スウェーデン北部にある小さな町、ウメオに1年留学をすることになったので、日々の写真とマンガ日記と思ったことメモと教育実習日誌

9月8日 類は友を呼んでいた

大学の建物内に入っている美容院に行ってきました。

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こちらに来てからというもの、水の違いなのか、ただでさえ硬かった私の髪はさらに鋼のようになり、毎朝爆発しては直すのにひと苦労。

出発前に長かった髪をショートカットにしていたのですけどね。それでも、もっと軽く短くしておけばよかったと日々後悔していました。

 

海外の美容院で切ってもらうのは、なんだか勇気がいります。

細かく要望を伝えるべきだとは思ったのですが、その場で英語で言える自信がなかったので、図説を作っていきました。

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この作戦、「どうすればいいかわかりやすい、すばらしい!」と美容師のお姉さんに褒めてもらいました。

 

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当然、いろいろ日本と違うところがありました。

いちばん驚いたのは、カット中のサービスでお酒が提供されること!

 

切り始めてまもなく、「スパークリングワインはいかが?」と聞かれまして。

え?どういう意味?ワインってワイン?と返事に困っていると、「無料のサービスだから心配しなくていいんですよー」と美容師さんが隣の席を指差します。どの席にも、金色の泡が光るワイングラスが置いてありました。

見た目がとっても綺麗で飲んでみたかったのですが、コーヒーにしてもらいました。(あいにくワイン一口味見しただけで、ケタケタ笑いが止まらなくなる弱さなので)

 

こういうサービスはスウェーデンでは普通なのかと私が尋ねると、「ほら、金曜の午後でしょ?だからです!」と、よくわからない返事が返ってきませんでした。英語が通じてなかったのかな。

 

髪は、無事にたーっぷりすいてもらえました。希望通り!やったね!

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例によって、広瀬すずよりも阿佐ヶ谷姉妹です。いいんですもう。

 

 

 

さて今夜は、夕食を一緒に作って食費を浮かす会が休みでしたが、その友人と夜の散歩に行ってきました。

 

ニダラション?という、いつもオーロラを見に行く大きな湖の周りを歩きました。よく行く岸の反対側にある東屋まで、往復3時間。

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普段は夜風が切るように冷たいのですが、今日は生ぬるいです。分厚い雲が空を覆っているからでしょうか。

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街灯はありますが数は少なく、下手したら肝試しのレベルです。

 

 

長い散歩でとっても疲れました。しかし、最高に嬉しい発見がふたつあったんです。自分用に語らせてください。

 

ひとつめ。

湖の反対側の東屋。ウメオでいちばん気に入った場所です。

 

いつもの岸は人が多く、常に音楽とお酒に酔った若者たちの声が響いています。星空を見上げていてもズンチャッズンチャとテクノポップがBGM、オーロラが一瞬光ると大歓声。
ほんとは静かに眺めたいんだけどな、とは思いつつも、仕方がないと思っていました。

 

でもこちら側は、人が誰もいませんでした。

東屋の屋根から滴る水が高い音と低い音を交互に鳴らしているのと、ときどきほんの少しだけ木々が揺れるくらい。とっても静かです。

基本、同じ場所で10分とじっとしていられない私なのですが、今日は30分以上、何も言わずにずっと座っていました。

 

景色が不思議でした。

たぶんそれはこの場所だからというよりも、単純に今日の天気のせいなんですけど。

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写真では全くわからなくて悔しい。

 

空が奇妙な色をしていました。星が無いのに明るいのです。

灰色がかった桃と紫、ときどき黄色、少しだけ紺。地上の光を反射しているのでしょうが、雲自体が淡く発光しているようにも見えました。 

 

岸の林はただの影で遠近感がありません。
よく、影絵で厚紙を切って背景を作ることがあるじゃないですか。あれだな、と思いました。影絵の縁で囲われた湖の中に、この小屋が浮かんでいるんです。

 

その色の具合と、雲の形をどうしても残したくて。
しかしカメラにはうつらないので、後から絵で描こうと思ったんですけど・・・

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私の毛を生やそうとがんばる素人の技量では、ちょっと無理でした。

もう少し上手く描けそうになったら、水彩絵の具を持って行きます。

 

でも、とりあえずこの場所はとてもいいところ!
静かってすばらしい。

 

 

 

ふたつめ。

やっと、同類の趣味をもつ人を見つけました。

 

誰もしゃべらないまま、半時間ほど経ったでしょうか。

不意に、「何を考えてる?」と聞かれました。

 

「風景から、想像してた」

「どんなことを?」

「湖の下の世界が今はこっち側に来てるなあって・・・ほら、空の色とか、いつも私たちが見ているのとぜんぜん違うのは、昼間の間は大人しくなりすましてる、違う世界が来てるからで・・・」

伝わらないだろうな、と思っていました。「おもしろいねー。」って流されるだろうなって。自分でもわけわからないことを言っているのは自覚しているし、なおさらたどたどしい英語です。

 

しかし、くれめんの返事は、意外なものでした。

「すごくよくわかるよ」

 

「・・・僕は雲の形を見て、ずっと物語を作ってた。雲がすごく早く動くから」

「きみも!?」

きみも、風景から妄想する!?目に見えたものから想像するタイプの人だったんか!? 

 

「だって、空が絵みたいじゃない?これは、本物の風景じゃなくて、遠くから誰かが作ったんだよ」

「私もそう思う。大きい筆でさ、大きい手で」(本当は「優しく撫でるみたいに水彩の筆を動かしたんだよ」と言いたかったのですが、英語力が足りず)

「自分は少し違う。誰かが、ふぅーって息でやったんだよ。向こう側から吹いたんだ」

 

 

留学以前の記事でも、書いたことがあります。

たぶん、不安?② - さむがりがさむいところへ

空想癖のある私のちょっとした不安でした。

 

日本語でもかろうじて伝わるか伝わらないかの、私のふとした思いつき。不自由な他言語でもできるのかな、そもそも聞いてくれる人はいるのかな。

英語に慣れるまでは、受け止めてくれる人を見つけるまでは、思いついたことを飲み込まないといけない。それって、とてもストレスだなあ・・・と思ってました。

 

実際、こちらで英語で「あの木、たぶん今私らの服装について文句言ってたよね!」とかうっかり言うと、通じないんですよね。「ちょっとわからないから、もう一回言って?」とか「あなたが言いたいのは、この動詞だね?」みたいな扱いになる。

だから、ずっとのっくんでいたんです。ひとり日記やブログでぐちぐちと書き溜めるしかなくて。

 

それが、やっと見つかりました。

私の想像の話を聞いてくれる人。おもしろがるんじゃなくて、じっくり耳を傾けてくれる友達。それどころか、同じように妄想してる。

 

「どんな話?」

「最初はいくつかの小舟から始まって、それを右の方で男の人が見ている。そのうち、小舟が空飛ぶマシン・・・2つ大きい羽がついている何か?になる。今度は後ろから巨大な男が現れて、手の平で、こう、大きい船を横へやってしまって、国を救う。この船は悪いやつだったんだよ」

 

私、自分で話を考えるのが好きですけど、誰かの作った話を聞くのも好きです。

とにかくもう、嬉しくて嬉しくて。
ぽんっとでてきたものを、頭のなかに押し戻してしまっておかなくていいんですから。

 

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行きの道はあんなにずっと喋っていたのに、帰り道はほとんど無言。

ふたりとも、自分の頭のなかの世界にどっぷり浸りすぎて、戻ってくるのに時間がかかるんです。それもまた良い。

 

 

 

深夜テンションで長く語ってしまいました。

以上、今日はとってもとっても嬉しい日でした。

友達、もっと見つかるといいな。