さむがりがさむいところへ

スウェーデン北部にある小さな町、ウメオに1年留学をすることになったので、日々の写真とマンガ日記と思ったことメモと教育実習日誌

たぶん、不安?②

前回からの続きです。またほぼ自分語り。

 

 

もうひとりの人からは、具体的な体験談やアドバイスをもらったというよりも、気づいていなかった自分の考えをするすると引き出してもらったかんじです。

たまたま同時期に留学する方だったんですが、とても聞き上手で、ついつい私ばかりベラベラとしゃべってしまうのです。

 

言葉になっていなかっただけでぼんやりと頭のなかにあったこと、自分が今まで考えたこともなかったけれど実は思っていたこと、そういうほわほわしたものが見える形になったと思います。

日記に書いたり、やっぱり人に話したりするのって大きいんですねぇ。

 

ということで、あとはまた個人的なメモとして、ようやく自覚した、留学に関して不安に思っていることを小さい順にまとめます。

 

 

どんなに大変でも、寂しくなっても、家に帰れない。ぜんぶひとりでなんとかしなくちゃいけない。

 たぶん、一人暮らしの人にとっては、「何をいまさら」ってかんじなんだと思います。

ほんとに彼らはすごいです。大好きな家族から遠く離れて、知らない人だらけの知らない土地に行って、生活から何からぜんぶひとりでこなしているんですから。

 

でも、私まだそれ、やったことないんです。
父親とふたりで暮らしていて、月に何回かはたやすく実家にも帰れます。

だからそこまで寂しさを感じたことがありません。

「休暇明け、実家から東京に戻るとすごくしんどい」とか「あー…お母さんに会いたい…すごく会いたい」という友達たちの話を「へー、そういうもんなのかー」と…ごめんなさい、他人事に聞いてました。

どんなかんじだったのかとか、そういうときどうしたのかとか、もっとちゃんと聞いておけばよかった。

 

さらにお恥ずかしいことに、生活力もありません。

家が遠く毎日帰りが遅いという理由もありますが、自炊なんて月に数えるくらいだけ。掃除・洗濯・風呂洗いは、マメな父が気づけば済ませてくれています。

 

そうなんですよ。ほんと甘ちゃんに育ってきてしまったんですよ。
どうしましょうよ。いきなり遠い異国で一人暮らし。笑っちゃいますよ。

 

今から家事やれや!って話なんですけど。
まぁ、不安は不安ですね。

 

 

あと、風邪ひいたときとか。

去年、なんどか風邪をひくたびに、日中家でひとりベッドに寝ていると、「看病してくれる人がいないとこんなに心細いのか・・・」と毎回泣きそうになってました。

薬を飲んで寝ていればすぐ良くなることも、心配してくれる友達や家族がいることも、夜になればお父さんが帰ってくることもわかっているのに、それぐらいチキンで寂しがりなのです。

 

ほら、人間体調を崩すと、心まで弱るじゃないですか。

異国の一人暮らしでそうなることがとてもこわいです。

 

 

 

 

おしゃべりの内輪の外

スウェーデンヨーテボリ大へ留学していた先輩が、
「困るのはね、むしろ雑談なの。ディスカッションとかなら、自分の意見とか答えとかあるでしょ。そうじゃなくて向こうのアイドルとか、食べ物の話になったときに全然ついてけない!会話に入れない!」
とおっしゃってました。

 

「なんだかんだヨーロッパ系の留学生が多くて、彼らは英語上手いし、わりと文化も共有してるからねー。やっぱり引け目はあるよね」と。

いわば、ずーっと内輪ネタを話されているような感覚らしいです。

そんなの、寂しすぎるじゃないですか!
あの感覚がずっと続くだなんて、想像もしたくない。

私、しゃべるのがとても好きです。
ありがちな言語の壁とはいえ…好きなところに余計なでっぱりがあるのは、とても心配です。

 

 

 

日本語でかろうじて伝わる私の妄想、英語でもできるのか?

いつもやっている、目にしたものからの想像とか、ふとした妄想とか。

 

例えば、

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 こんな風景を目にしたとして。
(またまたフリー素材ですが、こないだそっくりの光景が学芸にあったんです)

 

木を見てください。

たぶん夕暮れになるとこの枝はぐにーんと大きく曲がって、それぞれ先っぽが地面に着く形になります。

すると、それまで葉っぱのように見えていた小さい影が、ぽてぽてとてとて、大急ぎで枝を駆け下りていきます。枝はすぐまた元の形に戻って行ってしまうので、早くしないと降りれなくなってしまうのです。

影はハチドリみたいな、ちまっと丸っこい鳥の集団です。日中は木の上でぬくぬく体を暖めていますが、夜になると地面に穴を掘ってそこにすっぽり体を入れて眠るのです。集団で過ごしているわりに、穴には一匹ずつです。

この時期は、セミの使い古しの穴があるので―———

 

と、放っておくと止まらない妄想が始まります。

 

そこまで大きくふくらまさなくても、「今日の空気は手でつかんで持てそうですね」とか「あの学校、上から絶対なんか生えてきそうなかんじじゃない?」とか、随時細かい思い付きが、ぽこぽこ浮かんできます。

 

これらを、ぱっと英語でできる自信がありません。

「ぐにーん」とか「ぽてぽてとてとて」とか「ちまっと」とかどうしましょう。
「ふわふわ」「もふもふ」「ふかふか」が全て"fluffy"になっちゃうような言語ですよ。

 

もちろん、ここはすごく興味深いところです。

英語で捉えて、妄想して、ぼそぼそ呟けるようになって帰ってきたいと思っています。

日本語以外でものごとを見る目がほしい、なんて留学理由に挙げてる人間(なにしにいくの?① - さむがりがさむいところへ)の意地です。

 

でも、やっぱり、その境地まで行くには、すごく時間がかかるじゃないですか。

 

それまでの間は、どうしたらいいんですか。

ぱっとできなきゃ意味がないんです。
思ったらそのまま言葉にできなきゃ、こういう一瞬の妄想は、シャボン玉のようにふわふわ上がっていって、ある瞬間ぱちっと消えてしまうんです。言葉にすれば不思議と残るけど。

 

語学力が足りないせいで、その場の思いつきを飲みこまなくてはいけない。
とてもストレスです。

ずっと口閉じてしゃっくりしてるかんじなんだなって、ITC(英語だけ1週間合宿)のときに思いました。

 

 

ちなみに、言えたところで少しでも共感してくれる人はいるんだろうか、そもそも聞いてくれる人がいるんだろうか、という問題もありますが。

 

それでも知人に「それ探すのも、留学の目的じゃない?わかってくれる人、少しでも共有できることがある人」と言われて。

ここに関しては不安というより、留学中の目標のひとつになったような気がします。

 

 

 

10ヶ月、置いていかれるということ

いちばん、心配というか。胸あたりで溶け残っていること。


あ、だいぶ長くなってしまったので、また一回切ります。