1月30日 やーかんいんて
スウェーデン語初級Ⅱの授業が始まりました。
初級Ⅰのときとはうってわって、初回から授業は全てスウェーデン語で行われます。
もちろん先生はゆっくりはっきり喋ってくれるけれど・・・正直、ぜんっぜんついていけませんでした。楽しいことは楽しいのですが。
先生が「ところどころで、”Do you understand?”みたいなこと聞きますから。分からなければ言ってね、もう一度説明します」とおっしゃってくれるんですけどね。
実際に先生が"förstår ni?"って言ったときに、首をブンブン横に振ってるの私だけなんですよね・・・。ほんっと申し訳ない。全力で申し訳なさそうな顔をしつつブンブンします。
先生は優しいです。
私が「えっ何?なんかみんな急に書き出したけど?え、何書いてんの?え?え?」と慌てふためいていると、助けてくれます。スウェーデン語で。
一生懸命耳をすませるけれど、「Du=You」「ska=will」「skriv=write」までで精一杯。よーするに、なんか書くんだってことはわかるんですけど、何を書くのかが聞き取れません。助けてくれるのに、ああ・・・と、また申し訳ないポイントは高まっていきます。
そんなわけで、私はようやく、日本の高校のオールイングリッシュの英語の授業で、英語が苦手な生徒がどんな気持ちになるか、ちょっとわかった気がします。
高校では2011年度、中学校では2018年度から全面的に進められることになっている、英語で行われる英語の授業(ただし文法の説明などは日本語)。教育学部の英語科の端くれとしてわりとタイムリーな問題なんですよね。
実際にどのくらい実施されているのか、教師のレベルが追いついているのかなどの課題は今日は置いておいて。
いちばん自分で怖いなと思っている問題は、英語教師の大半が、かつて英語が「得意な側」の学生だったということ。そうじゃない側の気持ちを知らずに、授業を行わなくてはいけないこと。
それはもちろん、教え方、授業の運び方の授業とかでも習うんです。こんな状態の生徒がいるかもしれませんとか、こういうふうに配慮しましょうとか。
でも、ほんとに当たり前なんですけど、何度も言ってることなんですけど、実際に自分がその立場になると、もう見方がすっかり変わるんです。
留学し始めたばかりの頃も似たようなこと書いたけれど(たしか英語で心理学の授業を受けはじめて「ヒーーーついてけねーーー!!」ってなったとき)。そのときとも、ぜんぜん違いました。授業のスピードや身につけるべき知識や技能についていけないということと、授業で今何をすべきなのか、先生の今の一言は指示なのか問題なのか雑談なのかさえもわからないということは、こんなにかけ離れているんだなーって。やっと経験できた。
焦るし不安だし何より、うっかりするとすぐ、諦めたくなるんです。常に諦観が横にくっついちゃってる気がする。
先生が助けてくれる言葉さえ、それが苦手な言語なら、”助け”って感じないんだもの。今宿題の指示が出たんだってことも、隣の友達がメモをとりはじめてようやく気づくんだもの。こりゃダメだーって思いたくなってしまいます。もしかしたらもうたぶんどこかで思ってるかも。
でもそしたら、全力尽くしてたら聞き取れるはずの知ってる単語も、耳をすり抜けちゃうんですよね。だから、諦めないように、諦めないように・・・ってエネルギーをビンビンに張り続けるのが、すごく疲れる。それでやっぱりついてけなくて、悲しい。
外国語の授業を外国語で受けること、私は今まで楽しい!としか感じてこなかったから、今とってもとってもいい経験をしていると思います。第二英語圏に来てよかった。
苦手な側に立ったことで見えたこと、ほかにもあります。いいところ。
例えば、この書式、見覚えある方多いんじゃないでしょうか。
日本でも英語の授業の導入でよく使われてますよね。
「教室を歩き回って友達と話そう!質問して、答えをもらったら名前を書こう!ビンゴをめざせ!」というアレです。
質問で必要な単語はぜんぶ紙に用意してあって、使う文法は今回、または前回習ったものの復習であることがほとんどだと思います。
それを今日やりました。
使う文法はごく簡単。
"Do you ~ ?" に対して、"Yes, I do." か "No, I don't." で答えるだけです。
質問文の作り方は前学期で習っていて、答え方の言い回しだけ新しいかな。とにかく簡単なやつ。
あ、このノート間違って書いてた・・・右の文頭の”Jag”、"g"いりませんね。"g"ついてたら ”Yes” じゃなくて ”I” になっちゃいますね・・・ああ恥ずかしい。
さっきの質問用紙には、”play the piano" とか "like chocolate" とか書いてあって、それを並び替えて質問するだけです。答える方に至っちゃ2パターンしかありません。ほんっと、中学校レベルの英語の授業でよく見るやつと一緒です。
で。
前までずっと、私こういうのちょっと馬鹿にしてたんです。学生のときもそうだし、大学生になって模擬授業で使うようになってからもちょっとだけ。
「そこにある単語を並び替えて喋るだけなんて、簡単すぎてつまらない。ビンゴって小学生みたい。みんな退屈してるんだろな」って正直思ってました。
ところがどっこい。
もうこのビンゴゲーム、やりがいがあるのなんの。やりがいっていうか、なんていうんでしょう、文法や言い回しを染み込ませるのにこれほど役に立つだなんて知らなかったんです。
最初の3人くらいまでは、質問を出すことはもちろん、"Yes, I do. (Ja, det gör jag)"を言うことさえ、”Yes, do...ん?Yes, I, do...?" みたいなかんじでひと苦労。いちいち考え込まないと出てこないし、舌も回らなかったんです。
それが紙が名前で埋まる頃には、口がすっかり慣れて、流れるように”Yes, I do!"って言えるようになりました。あの子供だましすぎるじゃないかと思っていたビンゴゲームが、こんなにこんなにありがたいものだとは・・・・。
これも知れてよかったなあと思います。
書くことがごちゃごちゃしてきたので、もう寝ます。
今日もとっても良い一日!