10月13日 「サーミの血」鑑賞会
今日はスウェーデン人バディーのマーカスのお家にお邪魔して、みんなで「サーミの血」という映画を見ることになりました。
と、その前に、デザート隊長くれめんのおうちでスイーツの準備。
一番人気のシュケットに加え、それをアレンジしたシュークリームを作るそうです。
生地を作るまでは、シュケットもシュークリームも全く同じ。
くれめん先生曰く、「シュケットさえできるようになれば、一気に色々なお菓子が作れるようになるんだよ」とのこと。
そんなわけで、生地をスプーンで粒状に並べた後から工程が違います。
パールシュガーを加えるいつものシュケット↓
(ときどき他の住人たちがキッチンにやってくるのですが、みんな反応は同じ・・・「またやってるの?」と半ば呆れつつ目を丸くしています)
で、シュークリーム用のほうは砂糖をのっけないので、つるんとしたまま膨らみます。
焼いている間に、中に入れるクリームを作りました。
私は日本のシュークリームのイメージからてっきり生クリームとカスタードクリームだと思っていたのですが、チョコクリームでした。
チョコのシュークリームって食べるの初めてかも!
で、焼きあがるとこんなかんじ。鈴どら焼きみたいです。
このまま持っていって、その場でカットするそうです。
マーカスの家に着いたとたん、日本のおうちのいい香りがします。すっごく家族が恋しくなる匂い。
モダンで広いスウェーデンのおうちなのになんでだろう?と思ったら、
ぐらんぱが親子丼を作ってくれていました。
いろんな国のおいしい料理を作ってもらってきたけれど、やっぱりしょうゆやお砂糖を煮込むこの香りがいちばんだとついつい感じてしまいます。
そしてもちろん、とってもおいしかったです。
私の家はとっても甘口。親子丼といえば、もちろん甘くて、汁はとろっとしていたイメージです。
でも、今回のはさっぱり親子丼でした。つゆはさらっとしています。最初は少し驚きましたが、この味もすごく好きになりました。(ひとりで料理させてすみませんぐらんぱさん)
毎回他の日本人メンバーが日本料理を作ってくれるたびに思います。
我々「夕食を一緒に食べて食費を浮かす会」、きっと、各国の料理というよりも、各家庭の味を披露しているんです。
私の肉じゃがにしろ、あいばんの謎炒め物にしろ、くれめんのキッシュにしろ、みんな、家でその料理を習ったわけではなくて、ネットとか本で調べたレシピで料理しています。
だけどやっぱり、その人の記憶の中の味や見た目に近づけているわけで。家で食べたときのことを思い出しながら作るわけで。
それってやっぱり、家庭の味だと思います。
町のレストランや世界の料理フェスタの方がおいしくて「正確な」その国の料理は食べられるかもしれないけれど、私は、いろんなおうちにお邪魔させてもらっているかのように、この夕食の会でごはんを食べるのがすごく好きです。
そしてデザート!
屋外において冷やしておいたシューをカットして、中にチョコクリームを塗ります。
例によって待ちきれなくて、「もう切らずに直接クリームにディップしながら食べちゃおうよ!!」とか思ってしまう私。
完成品
どちらもふわふわで甘くておいしくて!
放っておいたら私、ひとりで全部食べちゃいます。
シュケットのほうが人気でしたが、私はチョコのシュークリームもけっこう好きです。カスタードと生クリームでもやってみたくなりました。
ごはんの後は、映画「サーミの血」を見ました。
私が今住んでいるウメオからもっと北に行ったところの先住民族、サーミ人の迫害についてのお話です。普段こういう重めの映画は見ないのですが、スウェーデンに留学に来たからには、と思って。
サーミ人とは、ラップランド地方、いわゆるノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北部とロシアのコラ半島でトナカイを飼い暮らし、フィンランド語に近い独自の言語を持つ先住民族。映画の主な舞台となる1930年代、スウェーデンのサーミ人は他の人種より劣った民族として差別された。
年老いた主人公が、少女時代を回想する形で話が進みます。といっても一人語りはありませんし、全体的なセリフも少ないです。 少女の力強くも荒っぽくも見えるまなざしから、ただただ察するしかありません。
明らかにされない部分も含めて、映画を見た後の頭のなかには、たくさん溶けのこりが溜まっています。
ネタバレしない程度(公式サイトのあらすじに書いてあるぐらいならセーフかと思って)に感想をメモしておきます。
溶けのこり3つぜんぶ語ると長くなるから、厳選して1こだけ。
エレマリャは本当に教師だったのか?
そもそもは、映画の紹介にも毎回でてくるこのシーン。
サーミ語を禁じられた寄宿学校に通う少女エレ・マリャは成績も良く進学を望んだが、教師は「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げる。
私の「差別する人」のイメージだと、こう、いかにも憎々しげに、吐き捨てるように暴言を吐くかんじなんですよね。
でも映画の中だと、担任の先生が「研究の結果によると、」って淡々と言うんです。その場面までは、厳しいけれどエレマリャを目にかけている、本当は優しい先生として描かれていたので、余計に深く抉られます。
でもエレマリャは、教師になったみたいなんです。
教師になる経緯やなった後のことは一切出てきません。
ただ、映画冒頭の現代の場面で、クリスティーナと名前を変えたエレマリャはホテルで出会った夫人たちに「私はもう退職したの、教師だったけど」と言っています。
だから私はてっきり、ウプサラの学校を出た後に教師として生きたんだと思ってました。
それで、ずっと「担任の先生にあんなことを言われて失望したはずなのに、なんで自分も教師になろうと思ったんだろう?」と考えてたんですが、今朝になって、いやあれも嘘かもしれんぞと思い始めて。
だってスウェーデン人として生きることを決めてから、エレマリャは全てを偽り続けているんです。それが骨身に染み付いてしまっているんです。
それで、他の人と一緒になって窓の外のサーミ人のことを毛嫌いして、ボロクソ言って、見下している。
それぐらい嘘で自分を隠すことに慣れているなら、その場で出会った人たちに職業を偽るくらい、息をするように容易い、ごく当たり前なことなんだろうなと思って。
だから結局、
教師になったのか。その理由は?
嘘をついていたのか。その理由は?
もやもや!わからん!
考えるのは苦手です。ぱやぱや生きているから!
まいっか!
まあ、たまには考えるのも悪くないし、親子丼とシュケットとシュークリームおいしかったし、今日はとっても良い一日です。